
次亜塩素酸ナトリウム、消毒液が根っこの先から漏れ出したと思われます。
根っこの先以外に漏れ出すような穴が開いていないか?
周りのに重要で危険な場所が、太い血管や神経、鼻や目などに近くないか?を良く調べます。
この歯では、途中に穴が開いている場所は見当たりませんでした。
診断と治療計画
診断は右上3番の神経が死んじゃっていて、
根っこの先には慢性の根尖性歯周炎があります。
根管治療中に次亜塩素酸ナトリウムが漏れ出した事故が起きたと思われます。
私も学生時代に薬液が飛び出した事故を見た経験があります。
洗っている時に一瞬でした。
患者さんが“ウッ”っと声をあげられて、顔をおさえてうずくまり動こなくなりました。
歯科医の声掛けにも反応できずに、ひたすら痛みを堪えておられる様でした。
その後は学生の私は見ることはできませんでしたが。
当時、何にも私にはできませんでした。
が、その怖さは今でも忘れられません。
先ずは痛みを抑えて、再度調べて経過をみます。
治療法としては、
●根管治療とその後に詰める。
●抜いちゃう。
●放っておく
治療
一週間後にいらした際には、症状はかなり良くなっていました。
患者さんは根管治療を希望されました。
麻酔をしてラバーダムをかけ始めました。
入り口を広げ神経が残っていないかを確認し、直線化によって根っこの先まで器具や薬液が届きやすくしました。
顕微鏡を使って、他に穴が開いてはいないか?を確認します。
途中に開いた穴を穿孔って言います。
穿孔が有るのか?どこにあるのか?を調べる方法は?
紙のポイントを根管に入れてみると、途中で血が付いている所が怪しいです。
電気的根管長測定器、根っこの先の位置を調べる機械を使うのも有効です。
全然、手前の短い所でピーっとなるのは、どこかに穴が開いて脇道があるのか?
あるいは金属などによって、電気が他所に流れて漏電しているのかも?
CTを撮れば、穴があるのか?その大きさは?位置は?などが詳しく分かります。