覆髄(ふくずい)、部分断髄、歯頸部断髄の違いは?

神経の上に薬を置く前に、どこまでが炎症を起こしているのか?その範囲を決めなければならない。
直接覆髄(ふくずい) は神経が出ちゃって、そのまんま神経を削ったりせずにその上に薬,例えばMTAを置く方法。
部分断髄は2〜3ミリ位の神経を取ってから、血を止めてからその上に置く方法。
歯頸部断髄は更に神経を歯頸部、歯の頭と根っこの境目まで取っちゃって、根っこの神経だけを残す方法。

目的は同じで、残せた神経が根っこの成長を続けられるようにする事です。

 考察

この歯の治り具合は良好です。
神経が生き残り、象牙質を 作り続けて根っこが成長し長くなり、カベも厚くなっています。
神経が生き残って良い点としては、神経の感覚や防御システムが残った点もあります。

慎重な治療後の評価が欠かせません。
神経、血流が保存されて根っこの成長が維持されているのか?
あるいは炎症が進み、死んでしまってはいないか?
この歯では詰め物がピッタリしていず、温度刺激の痛みがありましたが一過性でした。 

次亜塩素酸ナトリウムは神経を消毒し、血を止めるにも有効です。
傷口には血のカタマリが残っていないよう、直接神経の上にMTAセメントが触れるようにします。

MTAセメントは水酸化カルシウムよりも刺激が少なく、生体親和性が高く、細胞毒性も少なく、更に封鎖性が優れています。
水酸化カルシウムは長期間の使用には問題があり、できた象牙質のカベ、象牙橋も穴が開いていてもろくて、 封鎖性が悪いです。

傷口に象牙質ができたのか?レントゲンで確認しますが、それが成功には必ず必要ではありません。
神経が生き残っている事が成功の基準です。

根っこが未完成の幼弱な歯で神経が出ちゃった時には、一部分でも残す治療が必要です。
適切な行えば、その結果は良好です。