考察

治療結果を考える際には根管治療だけではなく 、歯ぐきや被せ物に関しても考慮しなければならない。
根管治療した歯がダメになる時は、これらの事が複合して起こるからです。
この歯の短期の予後は素晴らしく、長期の予後も良好でしょう。

治療した後にその治療計画は良かったのか?そうだとしても、適切に行われたのか?を振り返るべきです。
様々な治療方法の結果についても、患者さんと共に知っておくと良いでしょう。
複雑な治療であっても、準備期と確定期に分けて考えればシンプルに行えます。

この歯では瘻孔、膿のデキモノは無くなり、2年間に再発も有りませんでした。
レントゲンでも、後側の根っこのカゲは完全に無くなりました。
手前のカゲは少し残ってはいますが、かなり小さくなりました。
小さなカゲが残った理由を考えるに、根管間にどうしても削る事のできない場所、2本の根管をつなぐ細いハリ状のイスムス、凹みに細菌が残っているからと思われます。
更に4年間、経過を観ていきます。
しかし根管治療の技術的な質は良好な事から、更に根管治療が必要となるとは思えません。
被せる直してから2年ですが、隙間も無く、歯ぐきの状態も良好です。
この患者さんは治療済みの歯は少なく、将来の虫歯のリスクも高くはないでしょう。

今後は歯石取り、歯ブラシ指導を続けていきます。
また彼は喫煙者なので、歯周病へのリスクを伝えていきます。
歯ぐきの上に被せ物のフチを設定したので、汚れもつき難いと思われます。
かかりつけの歯科医とメインテナンスについて、よく相談するようにお願いしました。