
考察
適切に消毒、封鎖できたので、この歯の予後は良好です。
2年後のレントゲンから、完璧に治癒し根っこの先にも硬組織による封鎖が認められます。
この歯の診断はかんたんでした。
反対側の歯と比べて根っこの成長が遅れていて、膿ができていましたので。
ケガの後の早期に神経が死んでしまったのでしょう。
そして詰め物の隙間から細菌が入り込んで、根管が感染したと思われます。
歯根の未完成歯の正しい診断は、いつも簡単とはいきません。
未完成歯では、神経の生活検査が常に不正確になります。
間違って反応無しと判断しがちです。
これは歯が完全に出てからでないと、神経が十分に成長していないからです。
もし不安があれば、ハッキリとするまで定期的に神経の生活検査を繰り返すべきです。
歯の成長が止まっている等のレントゲン像が神経が死んでしまった事を示しています。
歴史的には未完成歯の根管治療では、水酸化カルシウムを仮に詰めて経過を見てきました。
18ヶ月後まで3〜6ヶ月ごとに水酸化カルシウムを詰め替えて、レントゲンでカルシウムによる石灰化を確認してから最終的な詰め物をしていました。
現在はMTAセメントを使えるので、長期の水酸化カルシウムによる貼薬は必要なくなりました。