歯ブラシ階段

『あなたはどんな時に歯医者に行きますか?』と聞かれたら、

ほとんどの人が『どこか具合が悪くなった時』『痛くなったら』と答えるでしょう。

患者さんばかりでなく、歯医者自身も『悪くなったところを治す』のが歯科医療だと考えてきました。

 治療のための技術や材料はどんどん進歩し、歯医者の数も過剰時代と言われる程に増え続けています。

当然、日本国民の歯は良くなるはずですが、、、?

若年者の虫歯は減ってきていますが、入れ歯人口は減るどころか増え続けています。

厚生労働省の調査によると、60歳では平均10.5本の歯を失い健全な歯は7.7本しか残っていません。

70歳では28本中16.5本の歯を失ってしまい、60%以上の人が総入れ歯といった状況です。

 悪くなったらまじめに歯医者に行く。歯医者もまじめに治療する。しかし、また具合が悪くなってしまいます。

何度も治療を繰り返しているうちに、結局歯を失ってしまいます。

どうしてなんでしょうか?

『歯は悪くなったら、なるべく早く治せば良い』『歯ブラシさえ頑張れば、お口のお手入れは自分だけでも大丈夫』とお思いではありませんか?

悪くなった時にだけ歯医者で修理を受け、日々のお手入れは自己流の習慣化された歯ブラシだけでは、、、

虫歯や歯周病の原因はそのままで、何もしていなかったとも言えるのではないでしょうか?

治療という名の修理だけでは、歯の健康を守ろうとするには限界があります。

 歯は一度削ってしまうと、元道りには戻りません。

削って無くなった所をプラスチックや金属で詰めたり・被せたりして、なるべくピッタリとフタをするだけです。

しかし、虫歯の原因は虫歯菌の多さや、食事の習慣、唾液の量や性質などなんです。

そうした原因を改善せずに、そのまま詰めたり・被せただけでは、また再発するのは当然ではないでしょうか?

どんなに精密に治療しても、年数がたてばいずれは問題が起こります。

初期虫歯を悪くならないようにと、まじめに歯科医院に通っていた患者さんの方が早期に削って・詰めて・再発するを繰り返し、かえって歯が悪くなったなんて事態も言われております。

 私達にとって虫歯や歯周病は身近な病気ですが、その原因が十分に解ったのは近年のことです。

それにより虫歯も歯周病も重症になる方は本来はマレであり、そのかかりやすさは個人差が大きいことが解ってきました。

個人個人の病気になりやすさ・リスクを判定し、コントロールすることにより効果的に予防・治療が可能になって参りました。

是非、治療を繰り返し歯がなくなっていくという連鎖を食い止め、リスク・コントロールのよる予防歯科医療に参加してください。