tuiteruno4

西葛西 服部歯科医院 (根管治療)

診療時間内では説明が足りなかったことや、お聞きしにくいことを伝えるためにこのブログを作りました。

4 3月

根管治療でのリスク その7

根管治療の術式でリスクになる事?

治療器具の完全に、効果的にキレイにする事です。
根管にステップをつけたり、誤った方向に削ったり、穴を開けてしまったり、真っすぐに削ったりせずに。
根管の機械的な形成、削り方は治療における最も重要なポイントであり、
多くの新しい器具や方法が紹介されてきた。
特に曲がった神経では、
従来使用されてきたステンレス製の器具を使うよりも、
ニッケルチタン製の器具を使用した方が 本来の根管の形に沿った形に削れ有効である。

実際の患者に違う器具や方法を使って、どの効果を比較した研究はほとんど無い。
ある研究では経験の浅い歯科医では、
最近の方法を使用した方が 失敗が少なかった。
しかしながら器具や方法の違いによって、治療結果が異なると示す明らかな証拠はない。 

ある集団での実験では
従来の方法よりも新しい器具を使用した方がレントゲンでの治療の質が良くなり、
その効果はその後にも維持されていた。

Kockらは、
根管充填、クスリの詰めた状態は良くなったが、
残念ながら根っこの先の病変の治り具合は変わらなかったと報告している。

異なる器具や方法が治療結果に関係するのかは分かっていない。
ニッケルチタン製の器具を使用した方が本来の根管の形を簡単に保存でき、より良好に形成できるが
しかしその事が治療結果に大きな意義を持つかは、まだ明らかではない。

上手に削れて、詰められれば、この上ないはずなんですが?
統計的な差、どうだ!って言えるほど、昔の治療結果よりも良くなっていないって話です。

最近の器具を使えば、
確かに短時間に簡単に削ることが出来る。
しかし心配なのは、削る前の基本が抜けて、いかに詰めるかばかりが話題になる。
ラバーダムは面倒だから、とりあえず新しい器具でどんどん削れる、、、
なんて事が怖いです。
以前はほとんど見て見ぬように手付かずの根管の再治療が多かったのですが、
ガンガン削られた後の再治療は難しくなる。
 
3 3月

根管治療でのリスク その6

前回までは治療前の因子が結果にどの様に影響するかでした。
今回からは治療方法による結果への影響です。

無菌的な方法です。

歯髄の病気の第一の原因は細菌感染、バイ菌なんだから
汚染された環境を最小限にあるいは排除後に始めるべきだ。

ラバーダムは何百年も前から使われており、ラバーダムを使うべきだと大学では教え続けている。
ラバーダムを使わないと根管の薬液による洗浄が十分にはできなくなり、
患者に器具や材料を飲み込ませる危険が高くなる。

洗浄液の次亜塩素酸は大変に刺激が強くて、ラバーダムから漏れるだけでも化学火傷を起こします。
その前に辛くて、我慢できるようなものではありません。
ので、ラバーダムを使わないと根管の消毒の重要な洗浄ができません。

研究でもラバーダムを使用した方が歯が残っている事が証明されています。

更に根管治療中にラバーダムを使用された患者は、
今後もラバーダムの使用を希望される方が多いという研究もあります。

無菌的な治療は根管治療の成功率を高めます。
 
2 3月

CTを撮ると診断や治療方針が変わるのか?

普通のレントゲン写真と症状を聞き
診断し治療方法を決めた後に、

同じ歯のCT画像を見ると診断や治療方法が変わり、
その判断に対する 自信に変化が起こるのか?
っていう論文。
23E8EBC6-AB3A-4CB2-8BC2-ED01566519FD 














難しい歯で最初は様子見にしようと思った歯63本が
CTを見たら63.4%の歯には普通に根管治療しよう!に変わった。
逆に19.1%の歯が 抜くべきだに。

最初は普通に根管治療をしようって思った歯73本の内
CTを見たら13本、17.9%は抜いた方が良いに変わった。
いや様子見にしように3本、4.1%が変わった。

BB91EE4F-CC66-4217-85B6-1A77333A37DA 










難しい歯程、CTを見て歯科医は自分の診断や治療方針に自信が高まった。

だからCTを撮るんです。 
2 3月

根管治療のリスク その5

根管治療でのリスク因子 その5

歯槽膿漏の状態
多くの研究で
歯槽膿漏の進行が根管治療の結果に悪い影響があると報告されている。
歯槽膿漏により歯を支える骨が減ると、根管治療の結果が悪い。

根管充填(根管に詰めるクスリ )
ある集団を調べた研究では
根管治療は70%以上で成功し、
治療後2〜4年後で70%、4〜6年後で83%だった。

再治療に関する集団に関する研究はほとんど無いが、
オランダの研究によると5年で26%、10年後で50%の成功率だった。
Peterssonらの研究では10年後で66%だった。

治療前の根充の状態は
根っこの先まで到達でき、効果的に清掃できるなら治療結果に影響しない。
しかし残念ながらいつもその様に尖端までキレイに出来ないため、
以前の根管充填は治療が失敗となるリスクを高くしている。

統計で考えるといろんな因子が関係して、
だから何?が言いたいのは?
なんて事があります。
患者さんを追って成功率を調べた研究では、
再治療の成功率は70%程度だったはず。

上に書かれているのは、どんな治療がなされているのかも関係なく?
集団を追跡したものだと思います。
population-based cohort studies とありますので。


 
29 2月

根管治療のリスク その4

根管治療前のリスク その4

術前の痛み

治療前に長引く痛みがあると、患者さんは治療後にもきっと痛むと思うでしょう。
初めて根管治療を受けた(再治療ではなくて)歯の 5〜10%に6ヶ月後にも、痛みが残っていた。
しかし術前に痛みがあった事が治療結果を悪くするとはならない。

根管治療って、いわゆる神経の治療なんです。
神経って脊髄をかえして、脳にまで複雑な回路で繋がっています。
神経の痛みがこじれると、もっと中心というか上の神経にも傷跡が残り、痛みが取れにくくなってしまいます。
時には抜いたのに痛みがなくならない!なんて、報告もあります。 
28 2月

根管治療のリスク その3

根管治療前のリスクについての、続きです。

今日の話題は瘻孔。
難しい漢字でしょう。
FB162400-42CE-4C78-A903-862508C1F44D
 










根っこに溜まったウミで出口で、ニキビみたいな感じ。

ある研究では
瘻孔から口のバイ菌が逆方向に根っこの方に入ってきて、
根っこの外側にも住み着いて難しくなると言うが確認はされていない。

二つの研究では治療前に瘻孔があっても、治療結果は変わらなかったと。
他の研究では治療結果が悪かったと。

根管治療の成功率が瘻孔有無への影響は分かっていないが、
もし関連性があるとしたら悪い影響であろう。

まあ研究結果はいつもこんな感じで、
どっちも有りで良くわかんないと? 
26 2月

根管治療でのリスク その二

治療前の根管治療でのリスク その二

歯の種類

多くの研究によると大臼歯、大きな奥歯は最も治療結果が良くない。
下の小臼歯、小さな奥歯は最も失敗しないようである。

下の小臼歯は一般に単純な神経が多いのですが、
時に小さな根の中で三本に分かれている歯もあるんですよ。
それぞれで違いますからね。
私の歯は?って事が知りたくて、他の人の歯なんて興味無い!
って聞こえてきますが?

ある研究ではそれぞれの根っこ単位で、比べられている。
歯を一つの単位と考えれば、複数の根っこがある歯の方がリスクが高まりますよね。

例えば根っこ一本の成功率が80%だとすると、根が三本の歯だと歯全体の成功率は50%になります。
一本が70%の成功率だと、三本の根の歯だと30%の成功率になってしまいますよね。
これには根っこの複雑性や他の因子を考慮していずにです。

複数の根を持つ歯は一本の根の歯よりも成功率が低くなるだろう?ってお分かりになりましたか。
 
25 2月

根管治療でのリスクとは?

教科書から患者さんに役立つと思われる情報を。

516C5ECA-3CC5-4E8E-85F6-4C73748C172A















治療する歯の状態に関するリスク。
治療前にリスクとなる事。 

診断名
治療前の診断名は最も良く調べられているリスク因子です。
歯髄炎(神経が生きている)
歯髄壊死(神経が死んでいる)
根尖性歯周炎(神経を超えて根っこの先、根尖にまで進んだ)

治療前に既に根尖に病気が進んでいる場合には、治療結果は良くない。 

根尖に病気がある場合には、無いときに比べて10〜20%も成功率が下がる。

更にある研究では、根尖の病気の大きい程、治りが悪いと言われている。
これは大きな病気程、治るのに時間がかかるので長く経過を追う必要があるからであろう。
Weiger先生は1998年にこう言っている。
個々人の成功率を調べる際に、 経過観察の期間を十分に考慮しないと間違った結果を導いてしまう。
Ng先生らは2011年に
治療後の期間を考慮に入れても、大きな病気程、治りが悪いと報告した。
近年、根尖の炎症の程度をレントゲン写真で分類するPAIという大きさの分類によると、
大きい程、治りが悪いと。

治療前の診断名によって、結果に影響する。
根尖に病気がある歯は、無いものと比べて治りが悪い。

歯髄炎や壊死では大まかに言って、
4年以内に全く影形も無くなり、正常像に治る確率は90%、
根尖に影が出来ている歯は、80%位で元通りに戻る。
でも全く正常像に戻らなくっても、90%以上歯が機能していますのでご安心を。
 
18 2月

歯が痛い 続き

半場道子先生の本から勝手に引用しております。

虫歯が更に大きくなったら。

問ー 「もう神経を取るしかありません」と言われるようになるのは、次の段階でしょうか。
答ー虫歯が象牙質の中心深くまでさらに進むと、歯髄神経に炎症が及ぶので、
  じっとしていても痛い。噛んだり叩いたりしなくても痛むという状態です。
  患者さんの痛みの表現でいうと、
  「口の中に刃物が入っているような痛み」
  「ガンガン痛んでこの世のものとも思えない」
  「頭に響くような痛み」
  「歩くたびにズキンズキン痛んで」という状態です。 
        痛くて 物が噛めなくなります。
6DE3CA06-6C86-4DB4-AC9C-A27F689B0640 



















問ー神経に炎症がおよぶのですか?
答ーそうです。
  神経の周囲に炎症が起き、痛みを伝える発痛物質が取り囲んでいる状態です。
  神経が発痛物質の濃縮スープに浸った 状態です。
問ーこれは大変です。どういう治療になるでしょうか?
答ー虫歯になった象牙質の部位がまだそれほど深くなければ、
  虫歯の部位を削って 、消毒して、神経を覆って修復する治療が行われます。
  不幸にして、虫歯が深くて炎症が歯髄神経全部にまで及んでしまった場合は、
  神経を取り除く( 抜髄)ことになります。
  局所麻酔をしてから抜髄します。
  それから根管の清掃にかかります。

  根管というのは歯髄神経が入っていた細い孔のことです。
  穴というか、クダです。
  直径1ミリ程度の深い孔の尖端まで幾度も消毒・清掃して、
  炎症が完全に癒るまで何ヶ月も待つ必要があるのです。
  
  何を待つのでしょうか?
  治癒には時間が掛かりますが、治療ステップとしては何ヶ月も待つ必要はありません。
  当院でも、患者さんの心情から
  直ぐに被せて大丈夫なのか?
  直ってくるのか?心配される方には、仮歯で数ヶ月待ってから被せておりますが、
  基本的には直ぐに被せるべきです。感染防止には。
  万が一、治りが良くなかったら?
  出来ることは外科的な治療になります。
  外科的な根管治療は被せたままで行いますので、被せ物は外しませんので。

すいません、余計な私心を書きました。

  だから通院回数がかかります。、、、?
   
      炎症が本当に治癒したら、細い孔の中、根管を充填して(詰めて)
      金冠 などを被せて治療終了になります。
  清掃 ・充填の作業が完全に終了するまで途中で止めないで、治療を継続しなければなりません。
  患者さんも治療する側も双方が根気のいる作業になります。

完全に治癒する成功の基準があります。
4年後に完全に治癒すれば、大成功となります。
治癒の意味が違うのでしょうが、薬を詰める前に治癒を待つ必要はありません。
回数や期間が長引く程、再感染の機会が増え
今では一回の治療でも治り具合は変わらないと言われています。

問ー細くて深い根管内を清掃・消毒と言うと、想像しただけでも大変ですね。
  もし炎症の巣窟が一番深い根尖まで 達してしまうと、どうなるのでしょうか。
答ー歯髄炎を放置したり、根管内の清掃が不完全のままだと、
  根尖部にある歯根膜、靭帯に炎症が起きて膿が溜まってしまいます。
  こうなると強い自発痛と咬合痛がでます。
  根尖性歯周炎という状態です。

素晴らしい本なんですが、
根管治療の詳細には違和感を覚えます。
半場先生は薬学部出身の研究者なんです。
でも医科歯科大に在籍されているお陰で、歯科への多くの示唆を与えて下さる素晴らしい先生です。
勝手に使用しておいて、申し訳ございません。
有難うございます。 
18 2月

歯が痛い

痛みに関する本で、
医科歯科大の半場道子先生の本からです。

D1628A31-0299-4738-BEDA-CA1C181597BE
 













無断に使用してすいませんが 、
患者さんへも説明に良いと思いまして。

問ー私事で恐縮ですが最近、冷たいものが歯にしみるのです。
答ー虫歯は、歯の表面をおおうエナメル質が口腔細菌に侵食されて始まります。
  でも、この段階では痛みもしみる感覚もないです。
  エナメル質には神経が分布していないから警告信号は出ません。
  
  虫歯がさらに進行して象牙質近くまで達すると、冷水がチカッと鋭くしみるようになります。
6DE3CA06-6C86-4DB4-AC9C-A27F689B0640 



















  放置すると次には温水もしみるようになると思います。
問ーでも虫歯の箇所はまだ浅くて、神経のあるところからは遠く離れています。
  神経には触れていませんでしょう?
  どうして冷水で痛むのですか?
答ーはい。
  たしかに神経(歯髄神経)は、象牙質の深いところにあって、侵食された部位からは離れています。
  でも象牙質は象牙細管と言って、細い管で 神経から外側につながっているのです。
  その管、象牙細管の中には象牙質の細胞が突起を出して、外からの情報を見張っていますし、
  細管の中にはごく微量の細胞液が入っています。
  この細胞液が冷やされたり温められると動いて、その動きが神経に伝えられるので、
  一瞬だけチカッとしみる感覚がでる のです。
  これがC2、2度の虫歯の段階 です。

  この段階では
  しみるのは上の何番目の歯と、ご自分ではっきり指摘できるはずです。
  この段階では物をかんでも痛くありません。 
       C2の段階で覚悟を決めて治療を受けておくと、痛みが軽くて早く済みます。

途中、私の勝手な意訳がはいっております。 
Recent Comments
Profile

tuiteruno4

QRコード
QRコード
Recent Comments
  • ライブドアブログ