重要な項目
●相手の歯としっかりと噛み合っているか?
●治療前にすでに痛みがある?
●レントゲンで根の先にカゲがあるか?
●歯の種類、前歯か奥歯か?
●以前にも応急処置を受けているか?
が挙げられる。
痛みが続く、期間
●治療後の痛みが続く期間に関する項目には、
年令、性別、レントゲンでのカゲがある。
治療前に痛みがあるのか?は、
治療後の痛みが起こる可能性とは良く関連しているが、
痛みがどの位続くのかとは、関連していない。
痛みの強さ
●治療後の痛みの強さは、
歯の種類、患者の年令が関連している。
他の研究では逆に、
治療前の痛みの強さが治療後の痛みの強さと、関連していると示している。
前に強い痛みがあった患者は、
前に弱い痛みがあった患者の5倍も強い痛みを生じた。
7.5 治療の予後( 長持ちするのか?)
急患でいらした患者さんに、
根管治療、神経の治療が必要だと分かったならば、
次に考えるべきは
その予後と治療計画である。
理想的な根管治療に妨げとなる事はないのか?
以前に根管治療をされた、再治療なのか?
被せる点では、どうか?
歯周病は?
更に考慮しなければならない重要な点として、
全身の健康状態
歯の解剖学的な特徴
歯茎の状態
最終的な被せ方が挙げられる。
提案した治療方法が、その方に適したものなのか?
例えば、
ちゃんとメインテナンスをしてい方には、
根管治療後に被るといった治療は適切では無い。
経済的な点も考慮しなければならない。
治療の最終的な目的は、
その患者さんにとっての
あらゆる面を考慮した
健康への要求であるから。
自分の患者さんの事は書けないので、
NY大のRosenberg 先生の本から
患者1
●患者さんは何もしなければ、
痛くないが
硬い物を噛むと鋭い刺すような痛みが有り
指で押すと変な感じ。
この症状から、歯の破折、ヒビが疑われる。
専門家の先生
インターネット時代、情報が多過ぎて
未読の本が次々に山積み、、、
それでも新たな情報を捜し続ける毎日
姜 尚中先生の講演" 見抜く力" を聞く機会がありました。
世の中、情報が溢れ、細分化され過ぎて
あらゆる事にも"専門家" が現れる。
専門家の意見を信じていいものか?
地震後の原発への日本🇯🇵とドイツ🇩🇪の対応を例に挙げ、
日本では、原子力委員会の専門家に対策を
ドイツでは、様々な分野の専門外の識者に意見を聞き、
全ての原発を停止したそうです。
事故により被害を被るのは、一般人であって専門家ではないと。
だから、一般の方からの意見を大切にした。
いろんな人がいろんな意見を言うので、
訳が分からなくなる?
そんな時には、直感を信じなさい!と
おもしろい!
歯でも、多くの本やらこのブログやら
様々な事が書かれていますね。
私はこう思うと言うなら良いのですが、、
まるで、今見てきたかのように、、、
以前、ある先生が
" バカがバカを自慢している!"
なんて、
言われないよう気をつけます。
根の再治療をするべきか?
根の治療をやり直さなければならない時に考えるべき項目。(歯医者がですが)
NY大学のRosenberg先生の本からです。
●不適切な根管治療や被せ物が原因で、根管(神経)に細菌感染が残っているのか?
●通常の上からの再治療が可能なのか?障害となるポスト(芯棒)等は?
●もしポストがあるなら、たくさんの歯を削ることなく外せるのか?
●歯の支えとなる根っことの、バランスは?
●ヒビが原因ではないのか?
●再治療後に被せるのに十分な歯が残るのか?
●歯周病から失敗になる危険は?
●コスト対効果から考えて、インプラントの方が良くはないのか?
これらの質問に答えることにより、
通常の再治療あるいは外科的な治療を行うか?その予知性が分かる。
詳細な後向きの研究から、再治療の成功率は77%。
根の先に病変(影)があるか?根の薬のつまり具合、被せ物のピッタリ具合がその予後に大きく影響する。
再治療するか?あるいは抜いてインプラントにするのか?これは費用の面でも重要である。
再治療の方がインプラントよりも費用や予後という点では、優れているはずだ。
行いうる総ての治療方法を患者さんに提示し、患者さんに最終的に選んでもらうべきである。
まだまだいろんな条件が、それぞれの歯で違いますので
特に再治療になると複雑です。
写真の黒く見えているのが最近で、
神経の管から歯の中まで、染み入るように入り込む様子です。
こうなったら、現在では何をやっても取り除けません。
今回は歯痛と蓄膿症(上顎洞炎)。
数年前の事なんですが、
私自身、突然右上の歯が痛くなりました。
ドクドクっと脈打つ感じ、
神経スレスレで詰めてある歯の神経が悪くなったんだ!と思ったら
蓄膿症、上顎洞炎、副鼻腔炎でした。
急性の右側だけの上顎洞炎で、数日の抗生物質内服で治りました。
副鼻腔の中で歯に関係するのは、上アゴの奥歯のすぐ上にある上顎洞
っていう空間、洞穴みたいな所。
何のためにあるのか?も、想像するに息を保湿するため?頭の骨を軽くするため?とか言われています。
この図の紫色の部分です。
たかが副鼻腔炎なんて思っていると、かなり脳近くまで広がっていることから危険です。
歯科用CTでは、根の先の病変近くの上顎洞が腫れている像をよ〜くみます。
でも、耳鼻科の本を読むと
CTでの診断を勧めていません。臨床症状にて診断すべきだと有ります。
多くの症状から副鼻腔炎と診断された患者の半分以上の方は、CTでは異常像が無かったり、
逆にCT画像で異常でも、臨床症状から治療の必要が無い患者さんも多くいます。
歯科でも同じような混乱が見られます。
歯自体に痛みや腫れといった症状が無く、その近くの上顎洞に影が見られたら?
歯の病気なんでしょうか?
また、治療後の治り具合の評価にもCTを使うべきだとする歯科医もいます。
一般的ではないのですが。
では、CTの影が無くなっていなかったら、外科治療をすべきなんでしょうか?
歯科医の中でもコンセンサスがなく、(?勉強不足?)
この患者さんは、先ほどの真っ白に腫れていた方の約1年後の画像です。
よその歯科医院で、根の先にまだ黒い影があるので、
もっとシッカリとした専門医で再治療すべきと言われたそうです。
なんとも、、、言えない。
歯が痛い!ほんとに?
歯が痛いのに、歯が原因でない。
なんて患者さんがおられます。
そんな歯の痛みを診断するための本から、
こんな場合もありますよ、ってお話。
1.15.1 患者A
患者さんは42才女性
主訴は弱い痛みが時々あって、6ヶ月も続いている。
痛い歯は右下の6番目の歯、第一大臼歯が痛いと。
特に大きな病気にはかかった事はなく、
歯科治療は多くの詰め物をされているが、清掃状態も良く、歯肉の状態も心配ない。
痛む6番の歯には、中程度の詰め物がされている。
咬むのには特に問題が無かった。
2年前に同じ右上の6番を抜歯された。根管治療の失敗からだった。
根管治療は右側からくる痛みを無くそうとして行われたものだった。
しかし、歯を抜いたのに、痛みが反対側の下の歯に続いていた。
最近は焼けるような強い痛みが歯から始まり、その後にひどい頭痛が起こるようになった。
その痛みは何のきっかけも無く、突然起こる。
診断のカギ
●歯には特に問題がない。
●咬む事と痛みとが何ら関係ない。
●強く焼けるような痛みは、歯の痛みでは一般的ではない。
●以前に根管治療の失敗から歯を抜いたのに、痛みが続いている
診査
●レントゲン検査
●右側上下の口の中を診査
どうするべきか?
恐らくは歯が原因ではない。
歯に重要な問題が見つからなければ、神経や顔面痛の専門医に紹介するべきであろう。
1.15.2 患者B
患者さんは36才男性。
主訴は3日目の夕食後に突然、ひどい痛みが時々おこる。
歯の清掃状態は良好で、多くの素晴らしい治療を受けていた。
痛むのは左下の奥歯だと言った。
左下の6番を指で押すと痛みを感じた。
その歯には大きな詰め物がされていた。
他には特に異常は見つからなかった。
診断のカギ
●食後に突然始まったヒドイ痛み
●押すと強く痛む
診査
●レントゲン検査
●右上下の口の診査
●ヒビが入っていないか、強いライトを当ててみる。
●色素でヒビが染まらないかを調べる。
●木製やプラスチックの器具を咬んで、ヒビがないかを診査する。
咬んだ時、開いた時に刺すような痛みがおこれば、ヒビが有る。
●CTでヒビがうつる事がある。
あなたの診断結果は?
恐らくはヒビ、破折歯だろう。
もしヒビが見つかれば、根管治療をすべきだろう。
また根管治療を行っても痛みが無くならない歯では、ヒビが原因であることも。
根管治療で最後につめる薬の名前なんです。
一般的には、ガッタパーチャという樹脂とセメントの混ぜ物が使われています。
私が知った頃には、レジロンは結果が良くないという論文が多く有り、
使った事はありません。
でも、今でもホーム・ページに当院ではレジロンで詰めています。
なんて文を見ますね?
今頃になって、そのレジロンが出始めの頃の論文を読みました。
2008年だから10年前です。
素晴らしい結果なんです。
従来の?というか、今でも主流の方法で詰めると、
こんな感じ。
詰めても、中に墨汁がしみ込んで真っ黒。
全然、封鎖されていない感じ。
でも、レジロンでは
まったく、墨汁が入っていません。
素晴らしい!
これを使えば、ずっと良くなるハズなんですが、、、、
やはり、抜いた歯と生身の人とでは、結果が異なるんですね。
今は合言葉のように、EBM,EBMって言われます。
証拠に基ずく医療とか、訳されます。
でも、この論文を当時に読んでいたら、絶対、患者さんに使った事でしょう。
恐ろしや、恐ろしやです。
新しい物、流行りものには直ぐ手を出さない。
多くの結果が出るまでは、自分が開拓者になろうなんて思わない事ですね。
あ〜ビックリした。