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西葛西 服部歯科医院 (根管治療)

診療時間内では説明が足りなかったことや、お聞きしにくいことを伝えるためにこのブログを作りました。

4 4月

慢性根尖性歯周炎 その4

定期検診で神経が死んでいた歯の続きです。
その4

痛みは歯の神経の病気を診断する適切な指標にはならない。
全く痛みがなく、神経が死んでしまっている事もある。
大きな詰め物が入っている歯や薬をひいてギリギリ神経を残した歯では、
神経が死んでいないか電気や熱を使って調べたり、レントゲン検査を行う必要がある。

神経の死はゆっくりと進み、
最終的に細菌が神経の枝葉や細かい分岐部にまで入り込むと、
根管治療の成功率が下がってしまう。

根管治療の成功は細菌と複雑な解剖が左右する。
根管治療が失敗する可能性は低いが、
レントゲン上で治ったのかを確認するために治療後にも来院するべきだ。

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左が治療直後のレントゲン写真
右は一年後。根っこの先の黒い所がなくなりましたね。 
3 4月

慢性根尖性歯周炎 その3

慢性根尖性歯周炎 その3

定期検診で
以前に神経を残した歯の神経が死んでいたって方 の続き。

レントゲンで根っこの先に黒い影があったなら、
神経は完全に死んでしまっているのでしょうか?

レントゲンで根っこに影が有り、神経を刺激しても反応が無いと
神経が完全に死んでいると思われています。
しかし根管の根っこの先には一部の神経が生き残っているものである。

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だから神経が死んでいる歯の治療でも、麻酔をするんです。

尖端に生きた神経があることは、根管治療が成功する可能性が高くなります。
この尖端には細菌が入っていない可能性が高いからです。

最先端にまで細菌が感染すれば、状況は悪くなります。
細菌が神経の枝葉や細く分かれた部分にまで入り込み、完全に取り除けなくなるからです。
生きた神経の治療の成功率は95%、神経が死んで根っこに病気が進むと成功率が85%に低下します。
 
1 4月

慢性根尖性歯周炎 その2

2年前に神経ギリギリで残した歯が
定期検診で神経が死んでしまっていた方の続きです。

レントゲンを撮ったらこんな感じに黒くなっていたんでしたね。
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で、患者さんは抜かずに、根管治療を希望されたんでした。

この原因は?
根管性歯周炎(根っこの先に黒い影ができた)の原因は、
根管内に細菌が感染したからです。

この歯の場合は、前回に神経を残して薬をひいた際に虫歯を取り残ししまったのかも?
あるいは既に細菌が神経の中に入り込んでいて、その後に徐々に進行して神経が死んでしまったのかも?
あるいは詰め物との間に小さな隙間ができて(マイクロリーケイジ、微小漏洩って言います)
細菌が神経に 入り込んで感染してのかも?
微小漏洩は神経が死んでしまい、根っこに病気ができる原因になります。
いずれの原因にせよ、ゆっくりと進行するために痛みを伴わない事もあります。
スピードは様々ですが、病気は進行し大きくなっていきます。

神経の死ぬ事を歯髄壊死って言います。
歯髄の壊死は歯の頭の部分から始まります。
まだ根っこの方の神経は生き残っているこの段階でも、レントゲンで根っこの先に影が見られます。
神経の死は根の方に進むと共に、細菌が死んだ神経に中へ入り込みます。
この時には集団となった細菌、バイオフィルムが根管の壁にベッタリと張り付き、
歯の中の細い管(象牙細管)を通して中に入り込んでいる場所もあります。

根管治療が成功するかは、
複雑な根管内からいかに感染した死んだ組織を取り除けるかにかかっています。
どのような治療方法であっても、完全に細菌バイオフィルムを根管内から取り除くのは難しい。


根管の神経が感染する原因とは
●虫歯
●微小漏洩
●ヒビ
●怪我(歯が折れた)
●歯のすり減り
●歯周病が根っこの先にまで進んだ時

 
31 3月

慢性根尖性歯周炎

海外の教科書からの引用です。
慢性根尖性歯周炎。

38才の男性患者さんで、痛みも何も症状は無いが定期検診に来院。

主訴
何ら症状は無いが、以前に奥歯にたくさんの治療を受けていた。
右下の第一大臼歯、6番の治療を2年前に受けた。
虫歯が大きくて、神経が見えたが薬をひいて神経を残す治療を受けた。 
その後はなんともない。

診査結果
アマルガムの詰め物はピッタリ適合し、掛けたりしてはいない。
歯はグラつきもなくて、たたいても痛みはない。
歯周ポケットも正常。
しかし神経が生きているかの検査、熱や電気による刺激に反応しなかった。

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レントゲン写真から何が分かるのか?
●神経が小さくなって、石灰化している。
●根っこの先が黒く見える。
●手前の神経の角が詰めた金属に近くて、接して見えます。

最初の図の説明
(a)右下6番のレントゲン写真。両方の根っこの先が黒くなってます。
(b)神経の管、根管を顕微鏡で見るとモニョモニョした細菌の集まり、
バイオフィルムって言います、が張り付いています。
(c)手間の根っこを横に輪切りにして見ると、
ドーナッツ型に2つの神経が鉄アレイのように張り状につながっています。
イスマスって言います。
(d)cの丸い所を大きくして見ると
黒く見えている細菌が張り付いてい、一部が歯の中に入り込んでいます。
下の丸く見える粒々が白血球ですね。白血球が死んだのが膿です。

診断と治療計画
感染した神経が死んで、歯髄壊死、
根っこの先に病気ができた、慢性根尖性歯周炎って言います。

治療方法の選択肢は
●根管治療した後に被せる。
●抜いちゃう。
●放っておく。
いずれひどく痛くなって、膿んだりする可能性を説明して。

この患者さんは歯を残して欲しいと、根管治療を希望された。

根管治療の目的は?
根管治療の目的は根管内の死んだ組織や細菌を完全に取り除くこと。
根っこの先の病気は腐った根管の中から滲み出てくる物への反応層なので、
根管内がキレイになれば元に戻っていく。



 
25 3月

根っこの病気は感染症

根っこの病気を根尖性歯周炎って言います。
レントゲンで黒く見えるのは、
あるべき骨などの歯の周り組織、歯周組織が壊れていることを表しています。
根尖病変と言いますね。

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電子顕微鏡で見るとこんなふうに見えるんですね。
歯の中に深く、深く入り込んでいるんです。
治療用の顕微鏡で、こんな風に見えれば良いんですが、、、、
全く違います。

精々こんな感じです。 
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なので無菌的な治療手順が大切なんです。
ラバーダムや器具の滅菌、薬液による洗浄などなどです。 
24 3月

顎の進化論

進化とは、よく適応できたものが生き残る?とか?
素晴らしい進歩なのかと、勘違いしていました。

顎の進化の過程に、思わず笑ってしまいます。

ある本から

私が好きな例は、私達の中耳にある三つの小さな骨、
ツチ、キヌタ、アブミである。 
これらの骨は、現在は音を聞くために使われているが、
そのうちの2つ(ツチとキヌタ)は、
私達の祖先の爬虫類では下顎骨の一部として、ものを噛むのに使われていた!

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そんな事って!お恥ずかしながら知りませんでした。

続きを

爬虫類は大きな獲物を飲み込むために、複数の構成要素とちょうつがいからなった、
融通性のある顎が必要だったが、
哺乳類は単一の硬い骨(歯骨)で、
木の実を砕いたり穀類のような硬い食べ物を噛んだりする事を選んだ。
そこで爬虫類が哺乳類に進化したとき、
顎骨のうちの二つが転用されて中耳の中に組み込まれ、音を増幅するのに使われるようになった。
これは、一つには、初期の哺乳類が夜行性で、生存のために聴覚に大きく依存していたためでもある。
このように場当たり的で奇異な解決策なので、
比較解剖にくわしいか、中間型の化石を発見したのでないかぎり、
生物個体の機能上の必要性を検討するだけで、これを推論することは決してできないだろう。

神はエンジニアではないという単純な理由による
神はハッカーなのである。

本当に優れた物が選ばれて進化するのでは無いって事がよく分かります。 
23 3月

タイの歯科医に笑われる日本の歯科医療レベル

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200323-00212390-hbolz-soci

タイの歯科医を呆れさせた、恐るべき日本の歯科の非常識

 
13

HARBOR BUSINESS Online

痛みは一切なく、寝ているうちに治療が終わったタイの歯科

 こうして2014年に、悲願のバンコク歯科行きが実現した。すでにX線などの資料もメールで送信しており、その日のうちにRCTを開始できるよう専門医も用意してくれていた。

 おそらく30歳手前くらいの若手女性担当医は、顕微鏡で患部を見て、フッと鼻で笑った。

 「これは化膿していますね。すぐに治療を始めましょう」

 「なんで化膿しているんですかね?」

 「前担当された方が失敗したということでしょう」

 専門医の目から見れば、日本で受けた杜撰なRCTは嘲笑するしかなかったに違いない。

 そこからは粛々とRCTがすすめられた。「メス」という単語すら出て来ることがなかった。顕微鏡を使う通常のRCTで十分に対応できる範囲だったということだ。

 「はい、治療が終わりましたよ。あなた、治療中寝ていましたね。つまり痛みが全くなかったということで、非常によい兆候です」

 そう言われてみると、RCTにつきものの激痛が一切なかった。文字通り、寝ている間に終わってしまった。

 「来週月曜に、もう一度来てくださいね」
 
 そして、もう一度月曜に中をのぞき、何事か作業して治療は完了してしまった。あの半年にわたる痛みと徒労の日々は何だったのか。

日本の現実を告げると、呆然としていたタイの歯科医

 後日、別のタイ人歯科医と昼食を共にする機会があった。

 「日本ってね、歯科治療を個室でやらないところが少なくないんですよ」と言うと、先方は絶句した。

 続けて「諸々の器材も滅菌処理しないで使い回しする歯科医さえいます」と言うと、絶句に加え、目が大きく見開かれた。

 「RCTのとき、ラバーダムや顕微鏡を使う歯科医はほとんどいません」と言うと、今度はあまりの衝撃に唖然として、声も出ない。

 もはや、筆者の口から出る言葉を一言も信用できない様子だった。

 「日本の常識は世界の非常識」あまりにも言い古された言葉だが、歯科業界にこそ最も当てはまるのが悲しい現実である。

 次回は、歯科の基本中の基本「消毒・滅菌」について掘り下げていく。

【タカ大丸】
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

ハーバー・ビジネス・オンライン

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21 3月

口の中には、動物園があった!

口の中には、動物園があった!
とは、初めて生きた細菌を見ることができた
レーウィンフックの報告です。

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洋服生地商人でアマチュアの研磨工だった方です。
こんな顕微鏡で精巧で300倍にも見えたそうですが、
見難そうですね。
誰にもその作り方を教えなかったんだそうです。
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では勝手に彼の本から引用します。

歯からその白いカスの少量をとってきて、綺麗な雨水に混ぜ、顕微鏡の針に押し込んだ。

そこには、ほとんど信じがたいほど小さな生きものが管の中を
「チョウザメと呼ばれている魚のように」はね回っていたのだ。
そのすこし手前に群がっているやつは、突然きりきり舞をしたり、みごとなとんぼ返りをしたりしている。
また、なかにはのろのろと動き回る小さな曲がった杖のようなかっこうをしたやつもいる。

彼らは動いていた、生きていた。
もはや何ら疑問の余地はない。
彼の口の中には、動物園があったのだ!

当時が細菌が病気を起こすとは思われていなかったんですね。
1670年代の方です。 
18 3月

根管治療のリスク   おまけ

根管治療における成功へのリスク因子

おまけ

現在はEBM、証拠に基づく診療をと言われてきた。
しかし先日までお書きしたように、多くの点で十分な証拠はない。
今後のさらなる研究が望まれるという結論になってしまう。

歯科医の購読する専門誌には、自慢げな 華やかない治療例がいつまでもいつまでも乱舞している。
そうは言っても、目の前の患者さんを治療するには選択をしなくてはならないし。

基本的に忠実。
当たり前を貫くって事ですかね。
難しいんですが。

今読んでいる本から勝手に引用します。

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たとえ話をすると、仮に私があなたの家に豚を引きずり込んで、
この豚はしゃべれると言ったとする。
あなたはきっと
「本当か。聞かせてくれ」と言うだろう。
そこで私が魔法の杖を一振りすると、豚がしゃべりはじめる。
あなたはたぶん「何と!これは驚いた!」という反応をする。
おそらくは「たった一頭だけじゃね。もう何頭か見せてくれれば、君の言うことを信じるけど」とは言わないだろう。
しかし私が所属する神経学の分野では、これとまったく同じ態度をとる人が大勢いる。
 
17 3月

根管治療でのリスク まとめ

根管治療における成功へのリスク。
まとめ。

治療方法は良好な証拠に基づくべきであるが、
診断や術式に関する質の高い研究はほとんどない。

新たに質の高い研究を行わなければならないが、
それまでは現在可能である研究結果を慎重に評価をし、利用していかねばならない。

治療結果に影響する因子は沢山あるが、
治療の成功に最も大切な因子を一つだけあげることは難しい。

根っこの病気の原因は細菌であるのだから、
術前に根っこの先に病気が進んでいなけば 治療結果が良い事は当然である。
治療が高いレベルの一般的な方法で行われれば。

しかし根っこの病気は多くの歯に認めれる。
一般的に30〜40%の人が少なくても一本の病気がある歯を持っている。
神経を取られた歯の25〜50%に病気ができている。

これらの事実は一般的な歯科医院では良好な根管治療が行われていない事を表している。
しかし集団を調べた研究では根管治療3〜5年後に痛みを経験した患者はほとんどいなく、
多くの治療した歯が10年後にも残っていた。

根っこの先に病気ができている歯、治療が失敗している歯が多いのに痛くなく噛める歯が多いって事ですね。
だから根管治療の価値が低くなってしまうんでしょうね? 
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