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西葛西 服部歯科医院 (根管治療)

診療時間内では説明が足りなかったことや、お聞きしにくいことを伝えるためにこのブログを作りました。

5 6月

歯のヒビ その2

歯のそれぞれの山、咬頭って言いますが、に力をかけて開くように咬んでもらいます。
写真のようなプラスチックの棒や割りばしとか丸めた綿とかを、咬んでもらうんです。 
患者さんの言う症状が再現できるか?それぞれの山で咬んでもらいます。
もしどこかの山で痛みが出たなら、記録します。
この方では右下の6番の遠心舌側咬頭、奥側ベロ側の山で咬むと痛みが再現できました。
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強い光を当てて見る検査も、ヒビを見つけるのに有効です。

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ヒビが有ると、ヒビから先には光が届かず暗く見えます。
下の様に染色するとヒビに色が付いて分かります。



診断と治療計画

診断は右下の6番のヒビです。
症状からして、神経は生きていて、ヒビは完全にマップタツにはなっていない、不完全破折ですね。

何で痛むの?

痛みは象牙質の細い管、細管内の液体の動きが刺激になって起こります。
力で開いたり閉じたり、甘いの酸っぱいのの成分による液体が引っ張られたり押し込まれて痛いんです。
歯の外側の靭帯、歯根膜まで炎症が広がっていないので、たたいても痛くもなくて、本気にはどの歯が痛むのかが分からなかった。

治療しなでいると、歯髄炎や歯髄壊死、神経へ炎症が進み死んじゃうって、しまいには根っこの先へと進んでいきます。
根尖性歯周炎へと。
未治療の歯や控え目の治療のされた歯にヒビはよく見られますが、でも大きな詰め物の歯でも見られます。
この患者さんでは、咬んで数秒間後の痛みだけなんで、可逆性、元に戻れる程度、神経を取ったりしなくていいくらいのの症状です。
ズキズキしたり、何にもしなくても痛かったりすれば、神経への治療が必要です。




 
 
2 6月

歯のヒビ その1

アメリカの学会誌から、このコビット中に歯にヒビが入る患者さんが増えてるそうです。

CB045C8C-D3C0-46D1-B704-9A03452D7D99 ここまでハッキリと折れちゃうと、分かり易いんですが
なかなか原因不明の痛みの事が多いんです。

目的

上の歯じゃなくて、
この次の歯の治療を通して、歯のヒビの 見付け方と治療法を学びます。
普通の虫歯や歯槽膿漏と違うし?何の痛みかよく分かんない事が多くて、顎関節症だとか神経痛とかと間違えられたりします。
ので、病名に症候群って付いてます。
良く原因などが分かんない病気に使う病名です。

最初に

45才の男性、口の右側に刺すような鋭い痛みがある。

主訴

硬い物を咬むと数秒間刺すような痛みがある。
右の歯に起こるが、どの歯なのかはわからない。

内科的な病歴

特に無い

歯科の病歴

歯の治療は最近はなくて、定期的に検診を受けていた。

診査結果

奥歯には小さいのや、中位の大きさのプラスチックや銀の詰め物があった。
グラグラしたり、触ると痛かったり、歯周ポケットが深い歯はなかった。
何本かの歯に前後に走る髪の毛みたいな細いヒビが見られた。
絵の赤い線の所です。
右上の7番、右下の6,7番です。
7が1番後ろ、6は2番目で6才臼歯ですね。

温度や電気の刺激に全部の歯が正常に反応した。
レントゲンから、それらの詰め物は神経には近く無いし、歯根膜、歯の周りの黒い細いスジ、歯の靭帯も正常だった。

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1 6月

直接覆髄 その8

出た神経につける薬に必要な性質は?

●生体親和性
●象牙質の橋、フタが出来る(硬い組織によるフタが誘導される)
● 水に溶けない
●親水性
●歯にくっ付いて、スキマができない
●使い易い
●レントゲンに写る
●高くない

直接覆髄にするか?部分断髄にするのか?

どっちも同じですが、虫歯の治療では部分断髄の方がチョトだけ有利です。
直接覆髄は神経はそのままで薬を置く方法、部分断髄は少し神経を取ってから置く方法です。
部分断髄では表面の傷ついた部分を取り除くので直り具合が良く、またその削ったスペースに薬を置く余裕ができます。
直接覆髄は全然時代遅れってことではないんですが、虫歯で神経が出ちゃった時には部分断髄が一般的には好まれます。

象牙質によるフタ、象牙橋の有効性については、長年討論が続いています。 
成功の必須条件ではありませんが、スキマが出来にくくなって神経を守るには有効です。
象牙橋が無いと、神経が外側には近くなり細菌の侵入のリスクが高くなります。
MTAセメントを使うと象牙橋の質と量が優れています。
MTAセメントが神経を刺激して、象牙質の中の生物活性する成分を放出、活性化することで硬い組織によって修復されるようです。 

 ケガで神経が出た時や虫歯ではある条件であれば、神経を残すことができます。
無菌的な術式によって、出血のコントロール、薬を乗せてしっかりと封鎖出来ることが成功のカギとなります。
ケガの患者さん、虫歯で神経が出ちゃった若い患者さんには、MTAセメントの使用が治療結果を良好とするでしょう。

左の写真は抜いた歯の頭を酸に付けた柔らかくして、半分に切った絵です。
右の白く見えるAとあるのが、MTAセメントです。
Bの茶色が治療後3ヶ月後のできている象牙橋、歯の組織による硬いフタです。
Cの部分が神経を一部分削って取った所ですね。

右はその歯を薄くスライスして、色素で染めて顕微鏡で見た組織像です。
8倍に拡大してあります。
周りの青い象牙質と全く同じ物が、神経との境目にできています。
このようなトンネルみたいな虫歯はないので、健康な歯に穴を開けたものです。
虫歯というよりも、ケガで折れちゃった時に当てはまるでしょう。



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31 5月

直接覆髄 その7

成功のための関係することは?

●患者さんの年令
●出た神経の大きさ
●どんな薬を使うのか?

●患者さんの年令は大切なんですか?

実験によると、20才以下の若い患者さんの方が良いよと予想されます。
血流と細胞が豊富ですからです。
その方が結果が良さそうに思われます。
この方は19才で、きっと良好な直り具合が期待されます。
しかし驚くことに、年令が神経を残す治療に重要といった証拠はありません。 

●出ちゃった神経の大きさが大切なんですか?

ケガで神経が出たのであれば、大きさは関係ありません。
しかし虫歯で出た時には大きな程、細菌感染も多くて炎症もその大きさに伴って広がっていると考えられます。
この考えは理論的なもので、そんな証拠はありません。 

●使う材料が大切なんですか?

ここ50年以上に渡って、神経につける薬には水酸化カルシウムが使われてきました。
レジンも使われたことがありましたが、結果は良くありませんでした。
この10年ではMTAセメントが神経の治療に注目されてきました。
その良好な封鎖性、生体親和性、親水性、周囲の組織に生物活性を促す特徴があります。
何を使うのか?は、治療結果に影響があると思いますが、神経を残すには、その上に詰めた材料がピッタリしてスキマがないことが最も重要です。
ですので、最終的に詰める治療に十分な注意が望まれます。
 
30 5月

直接覆髄 その6

考察

神経が出た時に直接薬を置くだけの直接覆髄や一部の神経を取ってから置く部分断髄法は、以前には結果が悪いと言われてきた。
その結果、根管治療が行われてきました。
しかし症例を選び、無菌的な術式をしっかりと行えば、出た神経を残すことも可能となる。
最近の研究によれば適切な症例を選び経過をしっかりと観察すれば 、90%以上の成功が示されている。
症例の選択は総合的に考え、症状のない歯で、神経が生きていて、出血の程度が指標となります。

神経が既に不可逆性にまで炎症が進んでいれば、元に戻れない位進んでいれば失敗となる。
しかし診査で分かる症状と実際の組織的な状態は一致していなくて、その進行具合を正確に評価する事は難しいです。
症状から神経の状態を推測するのですが、いろいろな検査を総合して行いましょう。
詳しく経過を聞き、診査を行うことが重要です。
それによって神経の炎症状態に仮の診断ができるのです。
神経が戻れる程度の状態であると判断したのなら、神経を残すことも可能です。

元には戻れそうもない神経の状態

●何もしなくても痛い。
●眠れない。
●痛みが長く続く。
●冷たい物よりも、熱いのに痛む。
●神経の刺激検査でひどく痛くなる。
●鋭い痛みというよりも鈍い痛み。


 
29 5月

直接覆髄 その5

治療

ラバーダムをかけて、スキマから唾液が入らないようにセメントで埋めた。
詰めてあった銀歯を外して、低速度の機械で虫歯を削りその後は手の器具で進めた。
最終的に残せそうだったけど、虫歯を取ると神経が出てしまった。

血の出具合から神経の炎症進み具合を想像します。
虫歯の研究から、30秒から1分の内に血が止まらないとなりません。
もし止まらないのなら、炎症が強く失敗するでしょう。
この歯では次亜塩素酸ナトリウムを付けた滅菌された綿を30秒間置くと、止まりました。

神経の上にMTAセメントを置き、グラスアイオノマーセメントで補強して、その上に接着性のアマルガム、銀を詰めました。
最終的な詰め物を次回にすると、隙間が開く可能性があります。
定期的にチェックに来ること、何か症状が有れば直ぐに連絡する様に伝えました。

3DBCF4D8-E601-43A7-BBD3-6B50AB118154 右上の赤い穴が出ちゃった神経です。
日本では現在はアマルガムは使えません。
水銀が含まれるのでの、患者さんへの問題ではなくて、環境への汚染から禁止となりました。
私の歯にもアマルガムが入っていますが、取り除く必要はありませんよ。

失敗となる症状は?

●何もしなくても痛い。
●ヅキヅキして、眠れない。
●咬むと痛い。
●膿が出てきた。
●温度、特に暖かいものが痛い。

定期検診時には神経が生きているか?を温度や電気の刺激で調べます。
押したりたたいて痛みがないか?
レントゲンも撮ります。
この方では3,6,12ヶ月後に来院した際に何も症状はなくて、温度や電気刺激にも反応した。
1年後のレントゲンでも根っこの先に黒い影はありません。
その後は年に一度の検診にいらしています。

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27 5月

直接覆髄 その4

直接覆髄を成功させるには?
●健康な可逆性の元通りに戻れる程度の炎症であること。
●慎重な術式ー出血のコントロールと薬の置き方
●隙間が開かないー細菌の侵入を防ぐために、薬と詰め物がピッタリしていること。

この患者さんは自分の歯を残したかった。
治療前には、どこまだ虫歯が進んでいるのかは分からなかった。 
ので、患者さんに神経が出ちゃうかもしれないこと、その時の治療法について話した。
まずはやってみて、神経が出ちゃったら、直接覆髄か断髄になると伝えた。
直接覆髄はそのまま神経は取らずに、薬を置く方法。
断髄は少し神経を取ってから、薬を置く方法。

その前に患者さんに伝えるべきことは?
●治療方法の種類とその原則
●保存的な方法だけど、もしかして後で症状が出て、根管治療が必要になるかもしれないこと。
●定期検診が必要。
●少し冷たいの最初はしみるかも。
 
26 5月

直接覆髄 その3

どんな時に神経を残せるのか?

理論的には、可逆性、元通りに戻れる程度の炎症であればケガでも虫歯でも残せます。
禅問答のような答え?
可逆性って、病名自体が結果からしか分かんないですから。
しかし、治療結果を決める本当の炎症の進み具合を正確に判断できるのか?

ケガで早い時期ならば、さっきまで正常だったんだから、虫歯と違ってバイ菌が入り込んでいないと思われます。
根っ子が未完成の歯であれば、神経を残すよう試みるべきです。

でも虫歯を取っていて神経が出た時には、虫歯菌がいないとは考えにくいです。
ので、炎症が進んでいると考えて、一部分の神経を取る断髄か全部取る抜髄となるでしょう。
炎症があるのか?無いのか?によって、治療結果が大きく違うのです。

この歯では神経を取ってしまう以外に、他に方法はあるでしょうか?
症状もなく、電気や温度刺激に反応して、レントゲンで根っこの先にはカゲはありません。
ここから神経は健康と思われ、この様な歯では直接覆髄、出た神経にそのまま薬を置く方法、あるいは断髄が出来ると思います。

直接覆髄の利点は?

覆髄は根管治療と比べると時間もお金もキズも少なくて済みます。
さらに後で大きく被せなくて大丈夫です。
生物学的にも神経の防御力が残るし、感覚も残るので無理な力によって折れてしまう危険も減ります。



 
24 5月

直接覆髄 その2

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診断は虫歯による可逆性歯髄炎です。
可逆性は元通りに戻れそうな状態。
歯髄は歯の神経で、その炎症なんで歯髄炎です。
でも本当に元に戻れるのか?なんて最初から分かりませんが?

麻酔をして、前の詰め物を外して虫歯を削って歯の状態を確認します。
神経が出なくて大丈夫そうならば、直接にプラスチックか銀を詰めます。
もし神経が出ちゃった時には、詰める前にその治療が必要です。

もし神経が出ちゃった時には?どうするの?

●放っておく。
●薬を置く覆髄、あるいは神経を一部取ってから薬を置く断髄。
●神経を全部取る、抜髄して根管治療。
●抜いちゃう。

生きている、健康と思われる神経が出ちゃった時には、直接覆髄か断髄か全部取っちゃう抜髄の方法があります。
神経を取るのか、取らないのか?どこまで取らないのか?です。
直接覆髄は出た神経を守るために薬でカバーします。
断髄は出て神経を一部分だけ取ってから、薬を置きます。
断髄には歯頸部断髄、歯の頭の神経を取って、根っこの神経だけを残す方法と、
部分断髄、表面の一層、2〜3ミリだけ神経を取る方法があります。

どこまでが炎症があって、どこからが健康なのか?それが問題なんです。


 
23 5月

直接覆髄 その1

神経が出ちゃった時に、神経をそのままに薬を置く方法です。

目的

この歯の治療を通して、
根っこが完成している歯で神経が出ちゃった時に、神経が残せるのはどんな時かを学びます。

最初に

19才の男性、右上の第二大臼歯がかけて、冷たいものがしみる。

主訴

右上の7番が時々冷たいのがしみる。

内科的な病歴

特に無い

歯科の病歴

3週間前にかけるまでは何ともなかった。
かけてから、冷たい飲み物が5〜10秒ほどしみる。
ヅキヅキしたり、かんで痛んだりはしない。
4年前にアマルガム、銀の詰め物をしていた。

診査結果

顔の外側には異常無し。
奥歯にはある程度、治療がされていた。
歯ブラシは良好。

右上の7番は手前側にかけて銀が詰めてあり、後ろ側に虫歯の穴が開いていた。
たたいたり、押しても痛くはない。
歯ぐきにも問題はなく、下の奥歯としっかりとかみ合っていた。
電気刺激には正常に反応したけど、温度刺激には知覚過敏を示した。

レントゲンから分かることは?

●噛む面と手前側に白く写る詰め物が入っている。
●後側には黒く見える穴がある。
●根っこの先には、黒くはない。
●周りの骨もいい感じ。

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